『朝日新聞』2009年6月29日付

国大協「撤廃を」 国の交付金削減方針


国立大学協会が、毎年減らされている国立大への運営費交付金について、削減方針を撤廃するよう求める緊急アピールを出した。文部科学省や財政制度等審議会など各機関にも要望書を送った。

国立大学法人の経営基盤である運営費交付金は、政府の「骨太の方針2006」に基づいて毎年1%ずつ削減されている。協会によると、この5年間で23大学分の運営費が消えた計算になる。付属病院の経営も圧迫され、07年度には42病院のうち16病院が赤字に転落したという。アピールは「遠からず教育の質を保つことは難しくなり、研究の芽をつぶすだけでなく、地域医療の最後のとりでが破綻(は・たん)する」とし、国からの財政支援を経済協力開発機構諸国並みに拡充するよう求めた。日本の高等教育への公財政支出は、対GDP比0.5%で、 加盟国(平均1.1%)の中で最下位だ(05年実績)。

また、今月15日に開かれた総会で、授業料の目安になる「標準額」 を来年度から引き下げることを国に求める中間報告を了承した。運営費交付金の増額を前提にしている。

国立大の授業料は04年度の法人化まで一律だったが、現在は各大学が決め、標準額の2割増まで値上げできる。標準額は、法人化時の52万800円から、05年度に53万5800円へ引き上げられた。