『読売新聞』神戸版2009年6月27日付

神大大学院、南あわじで地域文化探究…市と協定締結


人形浄瑠璃調査など

神戸大大学院(神戸市)の国際文化学研究科は26日、兵庫県南あわじ市をフィールドに継続的な共同研究や事業を行うため、同市と連携・交流協定を締結した。同科との協定は、県内の自治体では初めて。人形浄瑠璃をはじめ、留学生を含む学生らが同市を地域文化探究のステージとして活用するとともに、少子高齢化など市が抱える様々な課題を巡り共同で調査・研究に取り組む。

同科は、学生が地域に入り、文化や特性を学びながら活性化を考える実践的な研究、教育の場として同市に協定を打診。淡路人形浄瑠璃などと、それを育んだ地方文化の調査・研究を中心に、大学院生や教員が市を訪れて活動、成果を地元に還元する。学生らのホームステイや、同科に多い海外からの留学生との交流会も計画し、異文化の理解など市民の生涯学習も後押ししたいという。

今年度は、8月上旬に文化人類学や芸能研究専攻の教員5、6人と大学院生20人が人形浄瑠璃の調査で訪問。11月は人形浄瑠璃をテーマに国内外の研究者を招いたシンポジウムを市内で開く考えだ。市も、活気づくりや地元文化の発信を託せるメリットに期待し、子どもを対象にした「わんぱく塾」の活動企画も学生に要請したいという。

市中央庁舎での協定書調印式で、中田勝久市長と書面を交換した水田恭平・研究科長は「研究、教育はともすれば抽象的な知に傾きがち。その意味で、学生にとっても具体的で貴重な場になると思う」と期待。中田市長も「誇れる歴史や文化も一般にはやや関心が低い。見つめ直すためのインパクトにもなれば」と話した。協定の効力は3年で、双方に異論がなければ更新される。