『読売新聞』福井版2009年6月19日付

理数系に強い教師養成
福井大、来年度から


福井大は2010年度から、理科分野の専門的な知識を持った教師「コア・サイエンス・ティーチャー(CST)」を養成する取り組みを始める。小学校を中心に、理科指導への苦手意識を抱く“教師の理科離れ”を解決するのが狙い。児童・生徒への指導に限らず、周囲の教師にもアドバイスできる“スペシャリスト”の育成を目指す。

科学技術振興機構(JST)と国立教育政策研究所が2008年に全国の公立小学校380校の教師935人へ実施したアンケート調査では、理科の指導を「苦手」「やや苦手」と感じる教師は、学級担任を務める教師の半数を占めた。JSTの担当者は「小学校では特に理工系出身教師が少ない。理科の苦手意識は年齢が若いほど目立つ」と指摘する。

こうした現状から、JSTは今年度から「理数系教員養成拠点構築事業」を始め、福井大など5大学の事業を採択した。

福井大の事業では、大学院の教育学研究科に設けている長期履修コース(3年)で、小中学校教員免許取得を希望する理工系学部生を受け入れ、免許取得に必要な科目の履修以外に、小中学校や、県立恐竜博物館(勝山市)などの研究機関で長期インターンシップを実施。現職の小中学校教師向け養成コースなども大学院に設ける。

コースの修了者はCSTに認定。さらに、知識や技能、指導力といった指標による大学独自の資格制度〈CST1〜3級〉を作り、実力向上への意欲を高めていく。

JSTからは09年度から4年間、毎年約2400万円の助成を受ける。

事業を中心になって進める同大学教育地域科学部の中田隆二教授は「地域や学校において、実験方法の指導や教材研究などで中心的な役割を果たす人材を育てたい」と話している。