『北海道新聞』2009年6月14日付

不況の影キャンパスにも 授業料免除・延納申請 道内大学・短大39校で


道内の大学・短大で授業料の免除や減免、延納を申請する学生が5月現在、少なくても39校で約4700人に上ることが北海道新聞のアンケートで分かった。前年同期を約730人上回っている。世界不況による家計の悪化が要因とみられ、新入生の申請も目立つ。申請者の増加で、例年であれば免除などを受けられる学生が、適用されないケースも出ているという。

授業料の免除や延納などは、各校が独自に条件や定員を決めて行っており、学生への支援としては奨学金と並ぶ制度。

アンケートは大学院生を除く学生を対象に、今月までに道内の国公立と私立の大学・短大58校に対して行い、54校から回答を得た。

申請者は5月現在、重複分を含め4771人と前年同期の4039人を18%上回った。このうち国公立大が3888人と全体の8割を占め、学校別の上位校も《1》北大(1015人)《2》道教大(939人)《3》室工大(637人)などとなった。

学年別では今春の新入生が目立ち、全体の3割強の1545人に達し、前年同期より45%も増えた。

また、新入生が対象となる入学金の免除や減免、延納の申請も増えており、847人と、前年同期を16%上回った。中でも私立大では42%も増えた。

申請を受けて、多くの学校は夏までに授業料免除などの対象者を決定するが、国公立の一部は後期にも申請を受け付けており、秋以降の申請数はさらに増えそうだ。

過去最多の398人が申請した小樽商大は「異常な多さ。親の解雇や賃金引き下げを理由に挙げる学生が例年より目立つ」(学務課)と話している。同大は既に対象者を決定しており、対象にならなかった約70人には、例年なら受給できる条件の学生も多いという。同大は来年度以降、受給定員の拡大を検討する。

申請が増えた背景には、景気悪化を受けて一部の学校が制度の新設や対象枠の拡大を行ったこともあるが、4月から授業料の免除制度を新設した札学院大では、「50人程度」とした枠に4倍の約200人が申し込んだ。

申請増によって免除などが受けられない事態を避けるため、道医療大は今春から、入学金と授業料の減免を希望する受験生に、あらかじめ申し出てもらった上で入試に合格すると必ず適用する制度を創設。入学後の学費支払いの不安の解消を図っている。