『日本経済新聞』2009年6月8日付

緊急奨学金、学生が渇望 応募殺到、大学の想定超える


昨年来の急速な景気の悪化を受け、大学などが設けた緊急の奨学金制度に学生の応募が殺到している。独立行政法人「日本学生支援機構」(東京)の貸与奨学金には想定の倍の学生が応募。実際の給付者の7倍の相談があった大学もある。奨学金を受給してもアルバイトを余儀なくされる例もあり、就学の厳しさは増す一方。専門家は「奨学金などの充実に長期的に取り組むべきだ」と指摘している。

「応募者数は想定以上」。奨学金の貸付事業などを手がける日本学生支援機構の担当者は驚きを隠さない。経済危機を受け昨年末から今年2月初旬にかけて、奨学金の貸与者を緊急募集したところ、利子つきの条件にもかかわらず9千人超が応募。約56億円を貸し出すことになった。当初、応募は4千人程度と予想していたという。