『毎日新聞』高知版2009年6月5日付

高知女子大:11年春共学化へ 計画から1年遅れ 保健・福祉分野へ門戸開放


◇校名は変更方針

県立高知女子大(山根洋右学長)は4日、2011年4月から男女共学にすると発表した。共学化は、保健・福祉分野を希望する男子学生への門戸開放や、県内高校生の進学機会の確保が目的。大学名は変更する方針で、今後、設備面や募集要項の作成などの準備を進めながら県などと検討を進める。【服部陽】

県立大改革を進める県は06年9月にまとめた改革基本計画で共学化を表明。さらに、尾崎正直知事は昨年9月の県議会で、県が女子大の再編を目指す2010年をめどに「共学化を行いたい」と強調していた。女子大側は先月末にあった学内の教授ら17人でつくる評議会で、全学部・学科の完全共学化を正式に決定した。

この日、会見した山根学長は大学側として初めて共学化を表明。全国に先行して少子・高齢化が進む県内で看護・福祉分野の人材育成が求められていると位置付け、「60年の伝統を生かした上で県内外から優秀な人材を招き入れ、教育立県としてのミッションを果たしたい」と述べた。

さらに実施時期については、トイレや更衣室などの施設整備▽募集要項の準備や広報活動の充実▽男女平等の教育カリキュラム−−などの体制づくりのため「知事が言う時期とは1年ずれるが、教育の質を保証するため」と説明した。

今後、県が共学化を盛り込んだ学則に変更し、来年度初めまでには文部科学省に届け出る。10年度入学の受験生向けの募集要項にも共学化の予告を盛り込むという。大学名について山根学長は「名実ともに一致すべきだ」として、変更する考えを明らかにした。

大学の発表を受け、尾崎知事は4日の定例会見で「大学の決定を真摯(しんし)に受け止める」と表明。時期が1年遅れることについては「特段の影響はない。学生を受け入れるための中身を整えるべきで、妥当だと思う」と述べた。

女子大は1949年開学。県は県立大学改革の一環として、現在の4学部体制から10年4月に生活科学部を再編し、健康栄養学部を新設する計画。さらに社会科学系の新学部の設置も検討している。女子大によると、全国で公立女子大は、群馬県立女子大と福岡女子大のみという。