『信濃毎日新聞』2009年6月2日付

信大に難病訪問診療センター開所 全国の国立大学で初


信大病院(松本市)は1日、パーキンソン病や脊髄(せきずい)小脳変性症など45の難病(特定疾患)の患者を訪問し、在宅診療する「難病訪問診療センター」を開設した。県内は、人口当たりの神経難病の患者数が全国平均より多く、医師が偏在しているため、診療を強化する狙い。同病院は「国立大学病院で難病患者を対象に訪問診療する取り組みは初めて」としている。

同センターは神経内科の専門医1人、看護師1人の態勢で、車に乗って県内全域を診療して回る。医師は患者の病状について診断、助言。投薬などの治療はせず、訪問診療後、かかりつけ医に治療方法などを助言し、連携して治療を進める方針だ。

信大病院が県の委託を受けて患者や家族の相談に応じていた「難病相談・支援センター」が受付窓口になり、新設した難病訪問診療センターに連絡。日程を調整し、診療日を決める。同センターはこのほか、介護者を休ませるために、難病患者が2週間程度一時入院できる病院を探す役割も担う。

同日、信大病院前で開いたセンターの開所式には約30人が出席。センター長の吉田邦広准教授(49)は「大学病院は地域医療の支援が求められており、患者とかかりつけ医、大学病院のネットワークを作りたい」と話していた。