『読売新聞』宮崎版2009年5月26日付

臨床技術訓練所を開設 宮崎大学医学部


宮崎大医学部(清武町)は、学生や研修医が救急医療や診察、治療方法を学ぶ「臨床技術トレーニングセンター」を開設した。実際に患者を診察する前に技術を身に着けるとともに、若手医師らに医療への関心をより深めてもらうことが狙い。(毛利雅史)

センターは同学部福利棟2階を改装して活用。以前からあった上半身、下半身、腕など体の各部位の形をした訓練器具に加え、肺疾患を調べる気管支鏡、胃カメラを体験できるシミュレーター、気管切開や乳児の気道管理を学ぶ模型(トレーナー)などを新たに導入した。改装及び機材購入費は計約7000万円。

例えば、気管支鏡のシミュレーターは、装置に内視鏡を入れると気管支が画面に映し出され、無理な操作をすると装置が患者のせきのような音を発する。また、心肺蘇生(そせい)法を学ぶ模型は、心臓マッサージの位置や強度、早さが適切かどうかなどをランプで知らせる。こうした装置により、誤りを確認しながら、技術を体得できる。

同センターによると、日本の医学教育はこれまで講義中心で、知識偏重の傾向があった。臨床実習は教授や医師らが治療する様子を見て学び、その後、教授らの指導の下で、実際に治療する形だった。

センター開設で、学生や研修医は実際に治療に当たる前に練習できるようになる。〈1〉危険がない〈2〉時間を掛け、繰り返し訓練できる〈3〉チームによる治療を訓練できる――といったメリットがあるという。

同学部は今後、高校生など大学外への開放や、他大学と合同の専門医養成にも取り組む計画。

センターは25日、報道陣に公開された。同学部医学教育改革推進センターの小松弘幸准教授は「充実した設備を持つことで、若い人が医学により興味を持ち、さらに医師の確保にもつながれば」と話していた。