『しんぶん赤旗』2009年5月23日付

重点配分の研究資金2700億円
大学運営費に使え
石井議員


日本共産党の石井郁子議員は二十二日の衆院文部科学委員会で、二千七百億円もの資金を一部の研究に重点配分する方法でなく、大学の運営費交付金など基盤的教育研究経費強化のために回すべきだと追及しました。

二〇〇九年度補正予算案の関連法案は、二千七百億円の基金をつくり、研究者を中心に、五年間で約三十課題、一テーマ九十億円程度の支援を行うというものです。

石井氏は「大学の構造改革の方針」にもとづき〇二年から実施された「21世紀COEプログラム」などの競争的資金が、東京大学や京都大学など七つの旧帝国大学に集中してきたことを指摘。その一方で、大学では運営費交付金や私学助成の削減などで「富める研究室」と「貧困な研究室」が二極分化している実態を日本化学会の調査結果から示しました。

日本化学会がおこなった、教員一人当たりの研究教育費調査は、東大、京大など科研費十位以内の国立有力十大学と地方国立大学三十校など二グループを比較。格差は〇三年度の一・九四倍から〇八年度には三・七倍に拡大したことを明らかにしています。

石井氏は、「重点配分はこうした研究のゆがみに一層の拍車をかけるものだ。大きな山を築こうと思えばすそ野を広くしなければならない。 国立大学の運営費交付金に回せば増額方向に転換することになる」と迫りました。

塩谷立文科相は「実態をふまえて改善すべきは改善すべきだ。基盤経費については削減された事実を踏まえてどうあるべきか検討しなければならない」と答えました。