『中国新聞』2009年5月20日付

広島大が研究費不正で陳謝


広島大は19日、公的研究費の不正使用について記者会見し、3655万円の不正を認めた上で、教員と業者による物品架空発注の監視体制を強める方針を示した。研究費交付元は同日、ペナルティー措置を表明し、大学財政への影響も出始めた。

東広島市のキャンパスで、財務・総務担当の河本朝光理事は「社会的信用を損ない深くおわびします」と陳謝し、山根八洲男副学長とともに頭を下げた。

不正があったのは2003―07年度で、関与した教員は大学院の4研究科と原爆放射線医科学研究所の11人。内訳は、医歯薬学総合研究科が最多の約2700万円で、教員は5人に上った。原医研と工学、生物圏科学、総合科学研究科は約490―20万円。私的流用はなかったという。

教員の架空発注に応じ、代金をプールした取引業者は8社で、納品書とは別のパソコンや試薬などを卸した。

大学は同日、広島大を離れている4人を除く7人の教授と准教授の処分審査会を設置。再発防止策として既に、物品納入を現場で確認する職員を37人配置。教職員の意識啓発を進め、会計監査人の指導も依頼する。

研究費交付元の一部も同日、対応を表明。広島県は2006年度に交付した「ひろしま産業創生補助金」のうち、不正使用された約20万円の返還を要請した。