『北海道新聞』2009年5月15日付

室蘭工大、東京都市大と連携拡大 航空宇宙や交流講義も


室蘭工大は、包括連携協定を結ぶ東京都市大(旧武蔵工大)との研究や大学運営などにおける連携を本年度、拡大する。都市大が開発した水素バスの走行試験を秋に室蘭で計画、共同研究分野は航空宇宙工学などにも広げ、双方の教員が出向く集中講義も行う。職員交流などを通じ私大の運営手法も採り入れる考えだ。(東野純也)

連携拡大は昨年度、文部科学省の戦略的大学連携支援事業に選ばれたのに伴う措置。新エネルギーとして期待される水素の研究協力をはじめ、幅広い連携に財政支援を三年間受ける。取り組みは本年度から本格化する。

検討を進めていた水素バスの走行試験は十月ごろから約一カ月を予定。バスは約二十人乗りで、市の公用車に代えて使用する計画。試乗会などのPR活動も検討している。

共同研究の分野は、航空宇宙工学の発電システム開発、原子力分野の材料研究のほか、生体工学や超電導など水素以外にも広げる。

教育面では、教員相互訪問による集中講義を大学院の十科目ほどで行う。学習プログラム開発も目指し、本年度は物理のテキストを共同制作。本年度実施の大学院入試からは互いの学生が進学できる特別推薦枠を設ける。希望があれば相手の大学の海外研修などにも参加できるようにする予定。男女共同参画など社会的テーマでの講演共催も目指す。

運営面では昨年度に事務職員二人を二週間交流させたが、本年度も期間や人数を拡大して継続する。入試や広報のノウハウも交換し、室工大としては少人数で運営する私大の手法を、効率化が求められる国立大運営に生かしたい考えだ。

両大でつくる連携推進委員会の岸徳光・室工大教授は「研究から学生教育まで、すべての面で双方がメリットを得られるようにしたい」と話している。