『下野新聞』2009年5月12日付

県商工連が宇大と協定 全商工会に窓口設置、中小企業の技術支援へ


県内三十九商工会の会員企業の技術力向上に向け、県商工会連合会(田中俊一会長)は二十日、宇都宮大(進村武男学長)と社会連携推進協定を結ぶ。全商工会に「宇都宮大学技術相談窓口」を設置。同大の地域共生研究開発センター(石井清センター長)と連携して地域の中小企業のニーズと同大の研究(シーズ)を結び付け、産学官連携や新技術開発などを推進する。

十一日の理事会で協定締結を正式決定した県商工連は、「全国では、経営相談や人材育成セミナーなどで県立広島大学と包括協定を結んでいる広島県商工会連合会に次ぐが、商工会に窓口を設けて新技術開発などで産学連携する協定としては初めて」としている。

下請けの中小企業が単独で、独自技術の開発や技術力向上に取り組むには限界がある。県商工連は中小企業診断士や法律家などの約百四十人の専門家を派遣できるようにしているが、技術系は十人ほどと少なかった。

今後は六月をめどに、全三十九商工会に窓口を設置。会員からの技術相談を受け付けた上、県商工連に連絡。同センターの産学連携コーディネーターに任命された県商工連職員が内容を検討し、橋渡しする。企業、大学側は技術提供や共同研究への道を探っていく。

相談分野は、機器開発、材料開発、情報通信、システム開発、バイオ、人間環境工学など。連携の取り組みが始まれば、会員企業の地元商工会は経営革新計画の策定支援や融資あっせんもする。県商工連は専門家派遣や販路開拓などへの支援も行う計画だ。(小林治郎)