『朝日新聞』2009年5月5日付

高校「専攻科」卒業生、大学編入可能に 文科省が方針


高校3年間の学習を終えた後、さらに技量を高めたり、資格を取ったりするために看護科や水産科などに併設されている2年制の「専攻科」について、文部科学省はこれまで認めてこなかった修了者の大学への編入学資格を認める方針を固めた。早ければ11年度から実施するとみられる。

「大学でさらに専門性を高めたい」という希望が多いことを踏まえ、専攻科で学んだことを大学の前期課程などと同等とみなせるよう、学校教育法などの関係法令を改正する考えだ。これにより、専攻科を終えた生徒は大学入試を受けて学部の1年生から始めなくても、編入学が受け入れられれば3年次からスタートできるようになる。

文科省によると、高校に専攻科を設けているのは看護科、水産科、工業科など全国で142校で、生徒数は約9千人。修業年限は法令で「1年以上」と定められているが、実際には2年間のところが多い。

専攻科の教育目的を大別すると、(1)高度な技術の習得(工業、商業など)(2)資格取得(水産、看護、福祉など)(3)社会人の再教育(農業)――に分けられる。高校看護科は8割、水産科では6割が専攻科を設置しており、看護師免許や海技士免許の取得を目標にカリキュラムを設定しているところが多い。

特に看護の専攻科では「さらに高度な医療の技術や知識を身につけたい」と大学編入を求める生徒が少なくないといい、文科省はカリキュラムや必要な教員数、施設・設備のあり方を検討し、設置基準を明確にした上で大学編入を制度化する考えだ。

大学への編入学は、短大や専修学校の専門課程などで認められている。専攻科で実現すれば、すべての学校種から大学への編入が可能になる。(編集委員・山上浩二郎)