『福井新聞』2009年4月28日付

健康長寿、世界のモデルに 福井県と東大が協議書
 

高齢化社会の課題解決に向け、「ジェロントロジー(総合長寿学)」の学際的な視点で共同研究を行い政策立案に結び付けようと、県と東京大高齢社会総合研究機構は27日、協議書を取り交わした。「健康長寿」を打ち出している本県を実地的な研究の場として、世界のモデルとなる高齢者を標準としたまちづくりを目指す。

取り組みの一つとしては、診療報酬明細書(レセプト)などを用いて医療と介護、特定検診に関するデータを把握、分析し、後期高齢者医療制度や国民健康保険の将来の姿を予測する。その上で医療、介護の効果的な連携の在り方も探る。

医療、介護、特定検診の3種類のデータをつなぎ合わせて分析するのは、都道府県レベルでは本県が初めて。健康長寿の解明や、特定検診と地域性、医療費の関係などの分析にも役立てる。

協議書の締結式は県庁で行われ、同機構からは鎌田実機構長と森田朗教授ら計4人が出席。鎌田機構長は「住み慣れた地域で自分らしく老いることができる社会の実現に向け、東大―福井モデルを構築したい」と抱負を語った。

これに対し、西川知事は「高齢化社会の課題解決に一緒に取り組んでいただけるのは心強く、大変期待している」と述べ、互いに協議書にサインした。

引き続き、鎌田機構長ら4人の講演会が福井市の県国際交流会館で行われた。森田教授は「日本の高齢化の進み方は規模、速度ともに人類初めての経験」と指摘。若くて元気のある人を中心にしたまちづくりではなく、高齢者の視点に立った発想の転換が不可欠とした。