『読売新聞』秋田版2009年4月28日付

秋田大工学資源学部 ボツワナで技術者育成へ
教育水準など調査団派遣


地下資源の研究に約100年の歴史を持つ秋田大工学資源学部(秋田市)が、アフリカ南部のボツワナ共和国に新設される国立大で技術者の育成に協力することになった。各国が地下資源の争奪戦を繰り広げる中、秋田大はこれを日本の資源獲得の布石にしようと、調査団を27日、現地に派遣した。

秋田大工学資源学部は地質調査から採鉱、製錬という資源開発の一連の流れを学べる国内唯一の大学。前身の秋田鉱山専門学校開学から数えて2011年に創立100周年を迎える。文部科学省が昨年度に始めた「資源人材育成プログラム」で鉱山開発の研究・教育を担う国内5大学の一つに指定され、昨年8月には、プログラムの幹事校として各大学の教授、学生らが学ぶ「資源塾」を開催した。

秋田大は今年1月、文科省から「地下資源の研究が進んでいる秋田大に、ボツワナの資源開発に力を貸してほしい」と要請を受けた。

ボツワナは、ダイヤモンド生産量が世界1位で、レアメタル(希少金属)のニッケルなどの地下資源も豊富だ。現在、二つ目の国立大学「ボツワナ国際科学技術大(BIUST)」を設立し、鉱学部を置く準備を進めている。

調査団は、地下のどんな地質に資源があるかを調べる鉱床学が専門の水田敏夫教授(61)を団長に3人の研究者で構成。現地の教育水準を調べ、どの程度の教育ができるか検討し、鉱山なども視察する予定だ。約5年をかけて新大学の設立を目指す。将来的には、秋田大の教員や学生も派遣し、採掘する鉱山などで教育・研究を行う考えだ。水田教授は、「研究者、教育者として資源が眠る国で新しい大学を作る協力ができるのは楽しみ」と意気込む。

吉村昇学長は、「人材育成を手がけることで、親日の研究者、技術者を資源国に増やし、日本が資源争奪戦に乗り遅れないようにしたい」と語る。

駐日ボツワナ大使館のオスカー・モツワハエ大使は、「鉱物資源の開発を進めるうえで、秋田大が最良のパートナーだと思っている。今回の日本との協力モデルが、ほかのアフリカ諸国にも広がっていくことを期待する」と話している。