『河北新報』2009年4月23日付

超大型加速器 東北誘致へ研究会 産学官連携し発足


国際プロジェクトで建設される超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、産学官が連携して東北に誘致する環境を整えようと、「東北加速器基礎科学研究会」の設立総会が22日、仙台市青葉区の仙台国際ホテルで開かれた。

研究会は東北6県と仙台市、各県の国立大、東北経済連合会など31団体で構成。発起人代表の井上明久東北大総長が「東北を世界の学術拠点にする足がかりとなる活動で、産業にも多大な影響をもたらす」とあいさつした。

研究会代表には、井上総長と東経連の幕田圭一会長を選出。名誉顧問には、ノーベル物理学賞受賞者で平成基礎科学財団(東京)理事長の小柴昌俊氏の就任が決まった。本年度事業として市民向けシンポジウム開催のほか、ILC計画の誘致表明をしていない日本政府の動向や受け入れに必要な条件の調査を決めた。

ILCは電子と陽電子を衝突させ、宇宙誕生直後の状態を再現し、宇宙の成り立ちなどの解明を進める施設。世界に1カ所だけ設置される計画で、国内では岩手県の北上山地も有力候補の一つという。

出席した岩手県の達増拓也知事はあいさつで「計画に協力できれば県民にとっても誇りだ。必要な情報を提供したい」と強調。宮城県の村井嘉浩知事も「わくわくする動き。力を合わせて頑張ろう」と呼び掛けた。