『山形新聞』2009年4月21日付

山形大で「サービス残業」 山形労基署が是正勧告、未払い3220万円


山形大が事務職員に残業分の割増賃金を支払わず、「サービス残業」 の実態があったとして、山形労働基準監督署から労働基準法に基づき是正勧告を受けていたことが21日、分かった。同大は、事務職員193人に対し、昨年4月から今年1月までの未払い時間外労働賃金計約3220万円を支払った。最高は、本部勤務の男性のケースで、月50時間以上の時間外勤務を申告していなかった。

同大が同日開いた定例記者会見で明らかにした。結城章夫学長は「真摯(しんし)に受け止め、全職員の労働時間の適正化と時間外労働の縮減に取り組む」とした上で、「国家公務員の時代を引きずっている。職員の意識改革も進めていきたい」と語った。

山形労基署が昨年11月と今年1月に医学部と付属病院に立ち入り検査し、医療事務職員を含む職員の時間外労働状況を調べた結果、退勤時間と建物から出る時間が食い違っている点などが見つかった。同労基署は労働時間管理が不十分だとして改善を指導、未払いの時間外労働賃金を支払うよう求めた。

山形大は勧告を受け、全ユニット長会議を開いて労働時間管理を徹底するよう申し合わせたほか、医学部だけでなく、すべての事務職員850人を個別に調査。農学部を除く5学部と本部の職員193人で「サービス残業」を行っている実態が浮かび上がった。不払い分の時間外労働は1万3503時間に上った。

人事担当の北野通世副学長は「2008年度以前にも(サービス残業は)あったと推測せざるを得ないが、記憶に頼る部分があり、現時点では調査をするつもりはない」と話している。