『琉球新報』2009年4月13日付

収入300万以下は猶予 日本学生支援機構、奨学金返還で条件


【東京】日本学生支援機構(旧日本育英会)が3カ月以上の奨学金延滞者の個人情報を個人信用情報機関(通称ブラックリスト)に登録する準備を進めている問題で、同機構が12日までに内規事項として明らかにしていなかった経済困難者の奨学金返還猶予を認める条件を公表した。機構によると、給与所得者の場合年間収入金額が300万円以下で、給与所得者以外は年間所得金額が200万円以下(必要経費等控除後)としている。

県内で相談事業を展開する沖縄なかまユニオンの比嘉勝子代表は「運動の盛り上がりで機構側にも変化が見えてきた。猶予制度の利用を訴えるとともに条件のさらなる緩和や返済額を元金に充てさせることなども実現させたい」と話した。

機構は2008年12月にブラックリスト登録同意書を対象者に送付したが同意書がなければ、ブラックリストへの登録はしない意向だ。

機構が9日、公表した返還猶予条件によると災害者、傷病者、生活保護受給者は証明書や診断書などの1年ごとの提出で状況が改善されるまで返還猶予を認める。失業者や無就職者、機構が定める条件に該当する経済困難者は所得証明書など必要書類を1年ごとに提出し、5年限定で認める。

首都圏なかまユニオンなどが主催する奨学金問題を考えるシンポジウムが12日午後、都内の中央区立京橋プラザ区民館で行われ、ブラックリスト登録撤回などを求める緊急提言を採択した。