時事通信配信記事 2009年4月16日付

研究費配分で独立機関=自民がイノベーション促進法案


自民党がまとめた「研究成果実用化(イノベーション)促進法案」(仮称)の原案が16日、判明した。産業の国際競争力を強化するのが目的で、省庁の垣根を越えて効率的に研究費を配分する独立機関を創設するのが柱。同党は、今国会への法案提出を目指している。

日本の科学技術の実用化・産業化は、産学官の連携不足のほか、各省庁の縦割り行政の壁に阻まれ、欧米各国に遅れを取っているとされる。

同法案では、研究者が研究活動に専念できる環境を整備するため、知的財産の管理や研究資金の調達を担う「研究管理専門職」を各大学に新設。研究活動に必要なデータの収集などを行う「研究技術支援専門職」も置くとした。その上で、2つの専門職の待遇については、研究者並みの報酬や地位を与えることを大学などの研究機関に求めた。

また、科学技術政策を企画立案する総合科学技術会議の機能強化や、優秀な人材を海外から招くための大学・大学院改革なども進めるとしている。

さらに、臨床研究体制の整備の一環として、新薬承認の迅速化や安全対策の強化を図るため、厚生労働省から独立した医薬品庁(仮称)の創設を提唱。海外に比べ弱いとされる医療機器分野の競争力強化の推進も盛り込んだ。