『中日新聞』2009年4月15日付

県と6大学など防災研究組織を設立 報道機関と連携し県民へ情報発信


静岡県内の6大学と静岡地方気象台、県などが協力し、防災に関する共同研究や情報発信に取り組む連携組織「しずおか防災コンソーシアム」を21日、設立する。これまで個々に研究していた学者が情報交換し、中日新聞社など地元の報道機関7社と連携しながら成果を発信し、県の防災力アップを目指す。

6大学は静岡大、浜松医科大、県立大、静岡文化芸術大、東海大、富士常葉大。県は昨年12月、防災教育・研究の相互協力の強化を目的に、6大学と個々に防災に関する協定を締結した。コンソーシアムは研究者らの交流と成果発表の場と位置づけ、防災をテーマに共同研究グループをつくり、国などの大型研究予算の獲得も目指す。

各大学にはそれぞれに得意な研究分野がある。防災総合センターで地震発生のメカニズムを研究する静岡大、災害時医療の浜松医科大、環境防災学部で研究や人材育成を進める富士常葉大などが、横の連携を模索する。

設立の中心メンバー里村幹夫・静大防災総合センター長は「静岡は地震対策の先進県だが、地元大学の貢献は少なかった。協力関係もなかった各大学の研究者らが補い合い、防災行政に協力できれば」と意義を説明。

また報道機関の参加について、コンソーシアム事務局担当で県危機管理局の岩田孝仁危機報道監は「災害時だけでなく、県民への啓発やニーズの吸い上げにはメディアの協力が不可欠。今後、広く参加を呼びかけたい」と話している。

交流の成果を基にした講習会、研究者、行政、メディア関係者による勉強会の設置なども予定している。