『毎日新聞』高知版2009年4月11日付

高知大学長選不正:行政訴訟 国、全面的に争う姿勢−−地裁第1回弁論


07年10月に相良祐輔学長が当選した高知大学長選で不正があったとして、対立候補だった高橋正征・同大名誉教授らが国の学長任命行為の取り消しを求めている訴訟の第1回口頭弁論が10日、高知地裁(小池明善裁判長)であった。国側は答弁書で全面的に争う姿勢を示した。

訴状によると、選考の参考にする学内意向投票で高橋票が相良票を41票上回ったが、開票終了後に大学の事務局職員が票の入った箱を無断で開け、数え直したところ1票差となった。選考では41票差と1票差の両方が参考資料とされ、相良学長が選ばれた。高橋名誉教授は「違法・無効な選考会議に基づく国の学長任命処分は違法だ」と訴えている。

一方、国側は答弁書で票のすり替えがあったという訴えを「根拠のないもの」。さらに学長選考決定については「適法な手続きのもとに行われた」として、請求を退けるよう求めている。

この日の弁論で、高橋名誉教授は「大学が徹底した調査や責任追及をせず、国が是認していることは極めて遺憾」などと意見陳述した。【服部陽】