『陸奥新報』2009年4月10日付

医療に糖鎖生物学応用、弘大大学院が講座設置 がん研究など期待


弘前大学大学院医学研究科(佐藤敬研究科長)は9日、歯磨き用品大手サンスター(本社大阪府高槻市)からの寄付で2009年3月末から3年間、同研究科付属高度先進医学研究センターに設置する「糖鎖医学講座」の記者会見を開いた。

1年ごとに3千万円の寄付を受け、次世代のバイオテクノロジーとしての糖鎖生物学を医学の教育・研究の中に取り込み、特にプロテオグリカンなどの構造と機能の関係を明確にし、医学や医療の応用研究に取り組む。

弘大は07年8月にサンスターと研究提携の推進に関する協定を締結。これまでサンスターから派遣された研究員と共同研究、プロテオグリカンなどの研究部会を立ち上げ、研究を行ってきた。

新たに設置する糖鎖医学講座では、動物実験で明らかとなっている潰瘍(かいよう)性大腸炎への効果、がんの増殖・転移を抑制する応用研究などを行う予定。また同センターにすでにある基礎的な糖鎖工学講座と連携した上で、教授や准教授らスタッフ5人ほどが講座に携わる。

サンスタースイスSAの工藤治夫取締役は「(大学側と)連携を密にしながら、社会に貢献していきたい。いろんな要素を取り入れながら、将来的には商品化もしたい」と意欲を見せた。