『朝日新聞』2009年4月9日付

外部資金で研究、産学連携を図る 福島大・会津大、新組織発足


法人化で経営手腕が問われるようになった国公立大学で、外部資金で研究を進める新組織の設立が相次いでいる。

会津大は1日、社会のニーズに応えた研究を推進するためとして「先端情報科学研究センター」(CAIST<カイスト>)を設立。研究テーマの第1弾として、宇宙情報科学分野のチームが発足した。

同チームは宇宙航空研究開発機構(JAXA)など外部から新しく3人を准教授として迎え、30代の若手研究者を中心とする6人で、月の表面のデータ解析などの研究を進める。大学からは特別な予算はつかないため、国のプロジェクトから外部資金獲得や、企業との共同研究を目指す。

これまで純粋な学問研究に偏りがちだった大学だが、先端情報科学研究センターでは社会的要請のあるテーマに力を入れ、産学連携を図る。同大は「衛星一つ飛ばすのでも様々な分野の技術が結集しており、マネジメントが必要。大学は研究中心で来たが、マネジメント能力のある研究者を養成する機会にもしたい」と話している。

福島大でも昨年、他大学や官公庁、研究機関など外部と共同で研究をするための「プロジェクト研究所」制度を開始。これまでに「地域ブランド戦略研究所」など4チームが出そろった。

大学が用意する資金は立ち上げ時の1チーム70万円に限られるため今後、外部資金の獲得を目指す。同大は「地域の課題解決などで新しい研究を推進するきっかけにし、大学のPRにつなげたい」としている。