『山陰中央新報』2009年4月3日付

鳥大医学部救命救急センター 新体制が始動


過酷な勤務環境や協力体制の薄さを理由に、救命救急センター長ら救急専属医四人が三月末に全員退職した鳥取大学医学部付属病院(米子市西町)で一日、後任の救命救急センター長、本間正人・救急災害科教授(46)を支える新体制が始動した。従来より七科多い九診療科が同センターに応援医を派遣、内科系と外科系の医師が各一人以上常駐する体制となった。さらに、従来は常勤医と研修医の二人で回してきた夜間当直から研修医は外し、常勤医二人体制とする。

一日に着任した本間センター長は「今回、非常に重要なのは医師が補充されたことのみならず、救急を支えていく体制が、病院挙げて出来た点にある。高度な医療を救急の患者に提供する可能性が広がった」と話した。

救命救急センターに応援医を出していた診療科は、三月時点では整形外科と第一外科のみ。新体制では、第一、第二、第三内科、神経内科、精神科、放射線科、泌尿器科の七科が新たに医師を一人ずつ出す。整形外科と第一外科も引き続き応援医を投入。特に整形外科からは、半年から一年間の救急応援経験を持つ助教二人を、四月末ごろまで緊急応援医として投入する。

「今回の問題を機に、これまでは非協力的だった診療科も救急の重要性を改めて認識し、病院挙げての協力体制となった」と豊島良太病院長。

緊急応援医として入る整形外科出身の岸本勇二助教(35)は「全国的に見てもこれだけの専門家が一堂に会し、救急診療に当たるのはまれ。研修医の実地教育面で非常に効果的」と話す。

ただ、医学部生への卒前教育や県消防学校の教育などは、六月末までは救急専門医が本間教授一人の状態が続くため「手薄になる」と同病院長。

また、同院は救命救急センターと別に、一次救急患者を対象とする救急室当直を設けていたが三月末で廃止。機能を縮小し同センターに吸収した。今後は、軽症の救急患者は県西部医師会の急患診療所など地域病院に段階的に誘導していく。