『読売新聞』三重版2009年4月4日付

三重大と企業の研究拠点、ゆめテクノ伊賀の完成式


生物工学など取り組み

三重大と企業の共同研究拠点「ゆめテクノ伊賀」の完成式が3日、三重県伊賀市ゆめが丘の同施設内テクノホールで開かれ、関係者約100人が出席した。教授陣8人と民間企業が協力し、バイオテクノロジー(生物工学)や環境などの先端研究に取り組む。

上野新都市「ゆめぽりす伊賀」開発事業は、目標とした「住む・働く・学ぶ・憩う」の4機能のうち、高等教育機関の誘致が課題として残っていた。同市と三重大が2003年1月に結んだ「相互友好協力協定」を元に、共同研究施設の設置で合意。経済産業省の補助金を受けるため、建設・運営主体は、財団法人・伊賀市文化都市協会(理事長・角田康一副市長)が引き受けた。

施設は5336平方メートルの敷地に建てられ、鉄骨3階建て、延べ約1463平方メートル。研究室7室と民間業者が使うインキュベーション室5室、90人を収容するテクノホールのほか、照明実験室、低温実験室などを備え、付属温室が別棟として建っている。総事業費は約4億3667万円。

完成式では、内保博仁市長が「伊賀の文化遺産を生かし、独自産業を生み出してほしい」とあいさつ。三重大の内田淳正学長も「松尾芭蕉の感性、忍者の努力と忍耐、橋本策・医学博士の独創性。伊賀は研究に必要な要素をすべて備えている。大学を挙げて全面的に支援したい」と述べた。

センター長に就任した前田広人教授は、これから取り組む課題としてバイオマスエネルギー、地下水や海洋調査、森林資源の保全、食の安全などを挙げ、「科学分野だけでなく、芭蕉や忍者などに関する人文系の研究も想定している」と説明した。前田氏ら教授陣8人のほか、民間業者の研究員や大学院生、留学生らが同拠点で研究を開始する。