『長野日報』2009年3月31日付

県内の医師不足解消へ 「地域医療推進学講座」開設


県の寄付により4月1日に信州大学医学部に開設する「地域医療推進学講座」について、県と信大は30日、開設に関する協定の調印式を県庁で行った。村井仁知事と小宮山淳学長が協定書を取り交わし、県内の医師不足解消に向けた研究成果に期待を寄せた。

県内唯一の医師養成機関の信大と県が連携し、産婦人科や小児科、外科、麻酔科など地域医療に従事する医師の養成や確保、地域病院への医師派遣などの医療供給体制の構築を図るのが狙い。設置期間は3年間で、「成果が上がれば継続も検討したい」(県衛生部)としている。県からの寄付金は年間3,000万円。

講座には信大医学部長の久保恵嗣教授と信大医学部付属病院第1外科講師の中沢勇一准教授、同病院地域医療人材センター研修担当コーディネーターの山田智子助教(産科)を配置。地域医療の実態把握や医療業務協力のため、中沢准教授は大町総合病院(大町市)の総合診療科に、山田助教は下伊那赤十字病院(下伊那郡松川町)の産婦人科にそれぞれ週1日勤務する。

協定書を交わし、村井知事は「講座を通じ連携が一層強化されることは心強く意義深い。実践的な研究を深め成果を上げてほしい」と期待。小宮山学長は「地域の医師不足については医師養成機関として重く受け止めている。決意を新たに教育の充実や実態把握を図り、地域医療のあり方について情報発信していきたい」と述べた。