『読売新聞』山梨版2009年3月27日付

「開かれた山梨大に努力」
退任の貫井学長 3学部融合に苦労


山梨大学の貫井英明学長(67)が31日に退任する。国立大学が法人化された2004年4月から間もない同年10月に就任し、大学改革に手腕をふるった。4年半の任期を振り返ってもらった。(聞き手・越村格)


 ――4年半を総括するとどうか。

法人化により運営費交付金は減ったが、病院収入などで財政は比較的安定していた。一大変革の時期に学長になり、ある意味では自由裁量で大学運営を行えるようになった。責任もあるが学長権限も増え、やることがたくさんあったが、「チャンスだぞ」と思ってやってきた。できる限りのことはできたと思う。

 ――就任から力を入れてきたことは。

学内の意識改革だ。法人化で外部資金の獲得や地域貢献は大学運営で欠かせなくなった。教職員には「大学の外に目を向け、積極的に出ろ」と折に触れて言い続けてきた。そのためには大学が一つになることが重要で、学内のインターネットで「学長メッセージ」を出すなどして情報の共有化や透明性の確保を図った。また、組織改編も行い、意思決定の迅速化を図ったり、広報室を設けたりした。もちろん、学生の就学環境の向上もある。教室の改修、カリキュラムの改善、ワイン人材育成拠点づくりなどを進めた。

そうした成果の一つが、大学の「売り」でもある環境、燃料電池などクリーンエネルギー研究だ。

 ――苦労した、やり残した点は。

3学部の融合、連携だ。医学部は元は山梨医科大で、大学として生まれ育ちが違う。加えて、異分野の連携は、教員の性格もそれぞれ異なり、一緒にやるのはとても難しい。「医工融合」などの共同研究を戦略的に行うなどしてきたが、これからも進めていかなければならない。学内で協議していた「健康」「環境」などの新学部が、目標の2010年度設置が困難となった。遅れは残念だが、11年度を目標に検討していく。

 ――後任には何を求めるか。

財政的にも少し余裕がある。加えて、付属病院は県内の医療体制を支えている。そうした現状を認識して、次の方針を決めていってほしい。

 ――学生、県民に一言。

学生は山梨大に誇りを持ち、社会にかかわり、勉強に励んでほしい。「開かれた大学」はこれからも進めていく。県民はどんどん山梨大に訪れ、公開講座や施設を利用してほしい。