『毎日新聞』茨城版2009年3月28日付

医師不足対策:県、2大学に寄付講座 医師確保、育成目的に来月から


医師不足対策の一環として、県は4月から筑波大学(つくば市)と東京医科大学(東京都)に地域医療のあり方を研究してもらうための「寄付講座」を開設する。これに伴い両大学は県内でも医師の少ない県西、鹿行地域に大学所属の医師を派遣するほか、県出身者を対象とした地域入学枠を新設するなど地域医療の確保に向けて県との密接な関係づくりを進める。27日までに県と両大学がそれぞれ協定を結んだ。

寄付講座の目的は地域医療を担う人材育成と同時に、地域への医師派遣を伴うことから、「即効性も期待できる点」(県保健福祉部)だという。期間は共に3年。

筑波大の講座では、民間の神栖済生会病院(神栖市)を拠点に、鹿行地域を研究モデル地域に指定。大学所属の医師2人が同病院で診察に当たり、医学生100人が分かれて1週間ずつ実習を行う。また、東京医科大の講座では、筑西市民病院(筑西市)と小美玉市医療センター(小美玉市)に週3日ずつ医師が派遣され、地域医療連携のあり方を研究する。寄付はそれぞれ各年2000万円で、東京医科大分には筑西、小美玉両市が500万円ずつ負担する。

医師不足対策で自治体が地元の国立大などに寄付講座を設ける取り組みは全国的に広がりをみせているが、対象が私立大の例は珍しい。東京医科大は阿見町に付属の霞ケ浦病院(4月から茨城医療センターに改称)を持っていることから実現に至った。

調印式で、東京医科大の臼井正彦学長は「茨城の医療のメッカ的な存在にしたい」と述べ、筑波大の山田信博理事は「地域の医療を支えるだけでなく、質の向上を努めることが役目」と意義を強調した。【八田浩輔】