『読売新聞』高知版2009年4月2日付

逆風の船出 期待と不安
新年度スタート


新年度が始まった1日、県内の官公庁や企業でも、辞令交付式や入社式が開かれ、厳しい経済状況の中、真新しいスーツに身を包んだ新職員や社員らが、期待と不安を胸に新たなスタートを切った。

県では、2009年度採用職員への辞令交付式が県庁正庁ホールで行われ、尾崎知事が出席した69人に辞令を手渡した。

今年度の採用は、新卒などの66人と、国や高知市との交流人事8人、退職後の再任用9人。式には、新規採用などの66人と、交流人事の3人が出席した。辞令交付後、新職員は「全体の奉仕者として、誠実かつ公正に職務を執行します」と宣誓した。

尾崎知事は「今年度は県庁が全力で動き始める特別な年。県民の皆様と手を携えて進み、決して〈小役人〉になってはいけません」と歓迎の言葉を述べた。人事課に配属された秋田大地さん(18)は「一日も早く県民のために働けるようになり、県庁の中で、自分の意見も発言できるようになりたい」と話していた。

公立大学法人となった高知工科大(香美市土佐山田町)の新理事長に就任した岡村甫前学長(70)には、県庁で尾崎知事から辞令が交付された。

尾崎知事は「県民の期待は非常に大きい。四国の知の拠点を目指してほしい」と要望。岡村理事長は「公立大となり最初の理事長として、知事からの負託を重く受け止めている。全国で、高知に工科大ありと言われるようにしたい」と抱負を語った。また、東大にサテライト教室を置く構想も明らかにした。

岡村理事長は、東大工学部教授、同学部長などを経て、2001年度から高知工科大学長を務めた。

高知市南はりまや町の四国銀行本店では、新入社員48人が入行式に臨んだ。青木章泰頭取は「厳しい環境ではありますが、この危機を好機ととらえ、やりがい、働きがいを持って業務に取り組んでください」とエールを送った。

新入社員は5月1日まで研修を受けた後、それぞれの部や支店に配属される。