『北國新聞』2009年3月27日付

24時間利用中止へ 金沢大自然科学系図書館


金大自然科学系図書館は新年度から、二〇〇五(平成十七)年の開館以来続けてきた学生向けの二十四時間利用体制を中止する。角間キャンパスの同図書館には警備員や防犯カメラが設置されておらず、夜間の安全性が確保できていなかった。大学側は「何か起きてからでは遅い」と説明するが、学生からは「不便だ」と惜しむ声が上がっている。

自然科学系図書館の開館時間は平日午前八時四十五分から午後八時までだが、研究教育の便宜のため、カードキーを持つ学生・教職員は午後八時の閉館以降も利用できる「特別開館」を行ってきた。

閉館後は、職員が帰宅して不在となり、警備員の巡回や防犯カメラによる監視もない「無法状態」。これまでに飲食禁止の規則を破ったり、電気ストーブを持ち込む利用者もいたという。事件や事故、図書の紛失などは起きていないが、「今後利用者に危険が及びかねない」として、特別開館の中止を決めた。

〇七年度の年間データによると、同図書館閉館後の利用者は全体の7%程度。金大は費用を要する警備員の雇用や防犯カメラの設置を見送った。学生からは「夜に集中して勉強したい」という要望があり、新年度からは同図書館を含むすべての金大図書館で平日の開館時間を午後十時まで延長して対応する。

国立大の中では京大が今年一月、防犯カメラと警備員を置いた二十四時間利用可能の「自習室」を附属図書館内に設けて話題になった。金大側は「閉館後の利用者の多くが試験前に一夜漬けをする学生で、このような生活を改めてもらいたいという思いもある」(川添真澄情報サービス課長)と話している。