『北國新聞』2009年3月31日付

「周生期」寄付講座に 金大病院、専門医養成へ 産科と小児科、一体的に学習


金大大学院医学系研究科は新年度、産科と小児科を一体的に学べる場として寄付講座「周生期医療専門医養成講座」を開設する。文部科学省の支援で今年度まで実施してきた養成プログラムの後を継ぎ、不足が深刻な周生期分野の医師を育てる。新五年生の四割が受講を希望する人気ぶりで、金大は講座を地域医療対策のモデルケースとして全国発信したい考えだ。

寄付講座では妊娠から出産、新生児、乳児期までの「周生期」を包括して学ぶ。前身であるプログラムと同様、医学部四年生以上を対象に能登や加賀、国外の病院での合宿研修や分娩(ぶんべん)、超音波検査などのシミュレーション教育を実施する。

プログラムを修了した先輩から評判が伝わり、新五年生百八人のうち四十人が受講を希望しているという。産婦人科医でなくとも必要な産科や小児科の初期診療能力を習得してもらう狙いがあり、一人で幅広い領域を診なければいけない地域医療の担い手養成にもつながると期待される。

四月からは新井隆成特任准教授が寄付講座の特任教授に就く。井上雅之特任助教に加え、合宿研修協力病院でもある恵寿総合病院(七尾市)産婦人科の土肥聡医員が特任助教を兼任する。

昨年、石川県の認証を受けたNPO法人「周生期医療支援機構」(代表・井上正樹金大産婦人科学教授)も本格稼働し、米家庭医療学会が認定する産科救急のセミナーを全国で開催して地域・周生期医療を支援する。

新井特任准教授は「大学と地域拠点病院が協力してやってきたプログラムで成果を挙げてきた。寄付講座ではさらに医学教育研究に力を入れる」と話した。