『中国新聞』2009年3月19日付

研修医確保へ無料住居 広島大病院


▽11年度までに建設

広島大病院(広島市南区)は二〇一一年度までに、敷地内で家賃無料の研修医用宿泊施設(レジデントハウス)を建設する。大都市の病院を研修先に選ぶ傾向が強い新卒医師を福利厚生面の充実で引きつけ、地域の医師不足解消につなげる。

計画ではレジデントハウスはマンション形式の九階建てに、1LDK九十二戸と談話室を備える。主な入居対象者は卒業後二年までの研修医。建設費約九億五千万円のうち約五億円を同大が負担。残り約四億五千万円は同大医学部卒業生や市民から寄付を募る。

臨床研修制度の導入に伴って、新卒医師は当直手当などの待遇が良く、経験を積みやすい大都市の総合病院に集中している。広島大病院で来年度研修を始める内定者は三十八人。定員六十人に対し63・3%にとどまる。

ハウス建設で他大学の出身者を含めた研修医の確保を目指す。越智光夫院長は「研修医が増えれば、その後も大学病院に残る人数が増えるはず。地元に定着する医師を育てたい」と意義づける。

中国地方では、島根大医学部付属病院(出雲市)が昨年四月、家賃が月額約一万四千円のレジデントハウスを開設。十七戸のうち十六戸に研修医が入居している。(衣川圭、藤村潤平)

●クリック 臨床研修制度

2004年度にスタートした。新卒医師に病院での研修を2年間義務づける。従来、新卒医師は出身大学で研修を受けるのが慣例化していたが、制度導入後は研修先を自由に選ぶようになった。勤務医不足が進む中、研修医を貴重な戦力とみなす病院は人材確保に力を入れている。大学病院などの地方病院は、研修医の定員に満たないケースが多い。