『薬事日報』2009年3月24日付

【文科省検討会】薬学大学院のあり方まとまる‐6年制と4年制の違い明確化


文部科学省の「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」は23日、4年制学部と6年制学部で異なる大学院教育のあり方の具体的な内容を盛り込んだ第1次報告を概ね了承した。6年制の大学院では、臨床薬学・医療薬学を中心とした高度・専門的な研究能力を持つ薬剤師を養成し、4年制大学院では創薬科学などを中心とした薬学領域における研究者の養成に重点を置く。会議での意見を踏まえて、今月中に第一次報告として文科省に提出する。

報告書では、6年制学部の大学院は臨床的課題を対象とする研究領域を中心に、高度な専門性や優れた研究能力を有する薬剤師の養成に重点を置いた教育研究を行い、4年制大学院は創薬科学をはじめとする薬学領域における研究者の養成を主な目的とするなど、今後の薬学系大学院教育の基本的な考え方を明記。

具体的には、6年制大学院は幅広い医療関連分野で活躍できる人材を養成するため、臨床現場での実践的な教育活動や、専門領域の学術的知識や研究能力を体系的に修得させる教育プログラムが必要と指摘。また、臨床現場での教育活動を実践するフィールドを確保するため、大学関係者は病院・薬局等医療関連施設との積極的な連携に努める必要があるとした。

4年制大学院には、研究者に求められる創薬科学等の研究遂行に必要な基本知識、技術を体系的に習得させる教育プログラムの必要性を挙げた。

教育研究組織のあり方については、体系的な教育課程の編成とそれを支える教員の教育指導研究能力向上が重要とした。その上で、教員については、各大学院の教育内容に応じて、適切に配置すべきなど弾力的な扱いとした。

また、入学者の質を確保するため、実効性のある入学者選抜の工夫に加え、大学院が求める学生像や教育を受けるために必要な水準を示した「入学者受け入れ方針」(アドミッション・ポリシー)の明確化を求めた。

大学院修了者の多様な進路を開拓するため、各大学院において医療現場や医薬品の研究・開発企業などとの連携強化を図るなど、修了者が活躍できる環境や場の拡大に向けた取り組みも必要とした。このほか、教育の質向上を図るため、大学院評価のあり方について、今後、検討が必要ともした。