『毎日新聞』愛媛版2009年3月18日付

イハラサイエンス:愛媛大に寄付講座 産学で技術研究、大学院理工学研究科に


 ◇来月から

愛媛大と、産業用の油圧配管継ぎ手製造で国内最大手のイハラサイエンス(本社東京都品川区、中野琢雄社長)はこのほど、松山市の同大学本部で記者会見し、4月から同大学大学院理工学研究科に寄付講座「新加工技術の創成サイエンス講座」を設けると発表した。当面3年間開講し、同社が年1000万円を寄付して、各種の流体を効率よく流す配管システムの設計や低コスト・省エネ製造技術などの研究を産学連携で進め、大学院生の実践的な教育を目指す。

同社は半導体製造、工作機械、造船などの分野で配管継ぎ手製造に大きな実績を持つ。また愛媛大は、同講座特命教授を務める岡部永年・同大学サテライトオフィス東京所長が、独自の金属加工技術「軸肥大加工法」の研究を進める。同加工法は、パイプ状素材の両端から圧力を掛け、さらにねじる力などを加えることにより、任意の場所に膨らみを作ったり曲げる新技術。現在は素材から削り出している各種配管部品が、ほぼ削りくずを出さずに製造可能となり、大幅な省資源・省エネに繋がると期待される。

講座には、同大学から岡部特命教授ら、同社から助教1人と、技術協力スタッフを随時派遣する。教育を受ける大学院生は10人程度となる見通し。【古谷秀綱】