『朝日新聞』2009年3月16日付

留学生増で予算増 文科省が交付金に新ルール


留学生を増やせば、使える予算も増えます――。文部科学省は、国立大学が私費留学生を増やした人数に応じて国の運営費交付金を多くもらえる仕組みを作り、各大学に通知した。09年度から実施する。条件を良くすることで福田前首相が提唱した「留学生30万人計画」の実現につなげたい考えだ。

交付金のうち、各大学の意欲的な取り組みに応じて算定される「特別教育研究経費」の一つに、「留学生受け入れ促進等経費」を設けた。国が奨学金を出す国費留学生は、従来も受け入れ人数をもとに交付金を出していたが、私費留学生についても交付金措置によって教育面などの支援を促すようにした。

文科省の担当者は「私費についてはこれまで各大学の努力でやってもらっていた。支援は、留学生の受け入れを増やすインセンティブと考えている」と話す。

09年度の場合、07年度の留学生数や過去の平均増加率を基に、これだけ増えるだろうという「想定値」を文科省が各大学に提示。あらかじめ想定値分の交付金を措置しておき、達成できないと頭数に応じて返納してもらう。

例えば東京大は、学部や大学院への私費留学生が07年度の1345人より、138人増えると想定。学部正規生は4万2千円、大学院博士課程正規生は16万8千円といった単価で計算し、約1600万円を措置する。

30万人計画は、大学の国際化などを進めるため、福田前首相が昨年1月に提唱。昨年5月1日現在で12万3829人(過去最高)だった留学生を2020年をめどに30万人に増やすことを目標にしている。(大西史晃)