『朝日新聞』茨城版2009年3月12日付

医師確保で県が2大学と連携 茨城


深刻化する医師不足の解消につなげるため、茨城県は筑波大学(つくば市)と東京医科大学(東京都)の2大学との連携強化に乗り出す。県出身者の入学枠「地域枠」を両大学に新設するほか、寄付講座も設置し、筑波大は神栖済生会病院、東京医科大は筑西市民病院と小美玉市医療センターに医師を派遣するという。

地域枠は09年度から筑波大医学群医学類に初めて設けられる。対象者は県内高校の卒業者か、在住者で定員5人。在学中は月15万円の貸与を受けられる。卒業後の医師免許取得後、県指定の病院で9年間働けば返還が免除される。9年のうち半分以上は、県北や県西など医師不足の29市町村の医療機関に勤務することが条件。

阿見町に付属の「霞ケ浦病院(茨城医療センター)」を設置している東京医科大でも、推薦入学者を対象に、10年度から定員3人の地域枠が設置される。

将来は両大学の地域枠計8人と、自治医科大(栃木県)に進学した県内出身者と、既存の県医師修学資金貸与制度の利用者を合わせ、毎年20人前後の新卒医師を確保するという。

寄付講座の設置は、大学所属の医師派遣が主な目的。筑波大では、付属病院の耳鼻科の40歳代と総合診療科の30歳代の医師2人が派遣先の神栖済生会病院で診察に当たるほか、医学類の学生100人がグループに分かれ年間で計32週間、同病院や市内の在宅患者宅などで実習する。市内の学校や公共施設で市民を対象に健康教室なども開く。寄付金2千万円は県が負担し、学生の交通費は神栖市が負担する。

東京医科大の寄付講座では、筑西市民病院に内科と泌尿器科などの医師、小美玉市医療センターに内科と整形外科などの医師を週3日ずつ派遣し、診療を受け持つ。県が1千万円、派遣を受ける両市が500万円ずつ、寄付金を負担する。