『中日新聞』2009年3月12日付

研究者の子育て応援します 名大に全国初の学童保育


研究者ら大学関係者の子育てを支援しようと、名古屋大(名古屋市千種区)が東山キャンパスに小学生専用の学童保育所の建設を進めていることが分かった。今夏にも開設する方針で、全国の大学で初の試み。子育てが障壁となって研究を断念せざるを得ない女性も多く、全国の大学のモデルケースになりそうだ。

名大にはゼロ−5歳児を対象とした学内保育所「こすもす保育園」はあるが、子どもが小学生になると、預け先は地域の学童保育所か名古屋市のトワイライトスクールなどになる。研究者は夜間に及ぶ研究も多く、学内に施設を求める声が出ていた。

新しい施設は、急な仕事にも対応できるよう午後9時まで利用でき、近隣小学校から大学まで子どもの送迎も予定している。

今回のプロジェクトのメンバーで、自らも子育て中という名大男女共同参画室の佐々木成江・特任准教授(38)は「女性研究者にとって『小一の壁』といわれる小学校入学時は、出産に次いで研究を断念する第2のピーク。学内に施設があれば、研究を夕方に中断することもなくなり、子育てとの両立がしやすくなる」と話す。

施設は増築する保育園2階に整備し、約120平方メートルで定員60人。夏休みにも利用できる。また、大学ならではの利点を生かし、「子どもを預ける研究者が、例えば建築工学なら秘密基地をつくるといったユニークなプログラムを提供するようにしたい」という。

文部科学省などによると、女性研究者の割合は全体の13%(昨年3月現在)。大半が5−2割の欧米諸国と比べて低く、名大も約11%にとどまっている。