『室蘭民報』2009年3月10日付

産学連携で技術者育成―室工大で実証講義スタート


室蘭工業大学(松岡健一学長)の「ものづくりバードアイ技術者育成事業」が9日、同大ものづくり基盤センターの実証講義でスタートした。全国の大学、企業との産学連携で、設計から素形材、機械加工、検査、評価までの全製造工程を俯瞰(ふかん)的に統括・管理する技術者を育成。座学や実験、インターンシップを展開し、平成23年度からのカリキュラム化を目指す。

20―22年度の3カ年事業。経産省の産学人材育成パートナーシップ等プログラム開発・実証事業に採択された。20年度補助費は2570万円。20、21年度はカリキュラム化に向けた90の実証講義を行い、機械システム工学、材料物性工学の両科(4月に統合して機械航空創造系学科)4年生10人が受講する。

実証講義はものづくりに関係する全科目のほか、鋳造、引っ張り実験、製造業でのインターンシップなど。講師は同大教員のほか、全国の大学、高専、道立工業試験場から招く。インターンシップ先として日本製鋼所室蘭製作所、キメラ(室蘭)などが協力する。

初日の実証講義は、清水一道・同大准教授の「材料力学」など。清水准教授は最初に「機械が正しく設計され、正しく製作され、正しく運転されなければ、破損事故を起こす」と全工程を統括する必要を力説。その上で金属材料の機械的性質について講義した。

この後は道立工業試験場技術支援センターの鴨田秀一所長の「材料プロセス学」、慶応義塾大の小茂鳥潤教授の「弾塑性(だんそせい)力学」を開講。学生のほか、国の雇用安定助成金などを活用した社員教育に力を入れているキメラの社員も、訓練の一環として受講した。

実証講義を基に、22年度までにプログラムを作成し、23年4月から機械航空創造系学科3年生を対象とした2年間のカリキュラムを開始する。

清水准教授は「不況で製造業が厳しい時だからこそ、幅広い知識と専門技術に加え、課題解決能力を備えた『生産俯瞰人材』を育てたい」と語っている。
(山田晃司)