『神戸新聞』2009年3月11日付

柏原病院に医師派遣 神大と県が地域医療で協定


医師不足が深刻化している兵庫県立柏原病院(丹波市柏原町)を、神戸大学大学院医学研究科が医師派遣などで支援する「地域医療連携推進事業」が新年度から実施されることになり、十日午前、井戸敏三知事と野上智行神戸大学長が協定書を交わした。

柏原病院には二〇〇三年以前に内科医が十四人いたが、現在はわずか四人。三百三床のうち、百四十六床しか稼働できず、厳しい運営を強いられている。

事業では、神戸大大学院と県が共同で地域医療システムの在り方を研究する。大学院からは内科医二人が柏原病院に派遣され外来診療を担当。県は職員を大学院に派遣し、医療行政の研究・教育に当たらせる。期間は三年で、県が年間三千万円を同大学院に支出する。

協定の調印式で井戸知事は「この事業を地域医療再建のためのスタートにしたい」と述べ、野上学長は「県との連携で、医師や医療スタッフを養成し、それを支えるシステムを作るというトータルな取り組みができる」と語った。

柏原病院の酒井国安院長は「内科の外来診療の体制を立て直すことで、外科など他の診療科や入院医療にも余裕が生まれると思う。この事業が医師配置の新しい仕組みとして成功するよう頑張りたい」と話した。(森本尚樹)