『沖縄タイムス』2009年3月7日付

迫る新学期 不満の渦 琉大の外国語講義削減/大学 詳細説明なし
教員「見切り発車」・学生「改革に疑問」


琉球大学が4月からの新入生を対象に外国語の講義数を大幅に減らす問題で、学生や授業を受け持ってきた非常勤講師、専任教員らは不安が消えないまま、新学期を迎えようとしている。5日には、法文学部の教員9人が、大学の在り方を考えようと公開討論会を開催。「授業を半分にして英語力は上がるのか」「議論が煮詰まらないまま見切り発車している」など大学が唱える「改革」の妥当性を疑問視する声や、学内外に詳細な説明がないことへの不満が相次いだ。6日発表された前期日程の合格者からも、不安の声が漏れた。(社会部・嘉数よしの)

5日の公開討論会。大学側に削減反対の署名や中止要請書を提出した法文学部の3年生(22)は悔しさをにじませた。「学生の学習権にかかわるのに、署名を出しても応えようとしない。誰のための改革なのか分からない」

学生たちは再度、新カリキュラムの廃止に向けた運動を展開する計画を進めている。

公開討論会は「黙っていては解決しない」と危機感を持った法文学部教員が急きょ開催。「専任教員らが沈黙している。学生の学ぶ権利をもっと大事にすべきだ」と自戒を込めながら話した。

英語非常勤講師は、担当授業が減らされた影響から、「収入減で引っ越しを余儀なくされたり、困っている講師がいる。人権問題だ」と嘆き、別の非常勤講師は「非常勤と大学の関係はまるで植民地と宗主国」と不信感をあらわにした。

4月に同大に入学する女性は「大学の都合もあると思うが、減らしてほしくない」と不安を打ち明けた。

法文学部教授会は2月、「今取り下げても混乱を招く。(実施は)苦渋の選択」と容認していたが、3月5日には「学内外から出ている疑問は解消されていない」と、平啓介理事らに説明を求めた。

琉球大学教授職員会は4日、同問題を含む公開質問状を岩政輝男学長あてに提出した。

平理事は本紙の取材に対し、「新聞投稿で説明した。一般の人への説明は予定していないが、法文学部の教授会では説明しようと考えている」と回答。新入生に対しては「学部学科からオリエンテーションなどで説明される」とした。