『河北新報』2009年2月28日付

周産期医療のやりがい伝授 医学生に特別講座


周産期医療を支える医師を増やそうと、青森県は2009年度、弘前大医学部の学生を対象に特別研修を始める。医師不足が深刻な小児科や産婦人科を志望する医学生の多さに着目し、「夢の実現」を応援しようと企画。命の誕生を扱う周産期医療の魅力を知ってもらい、慢性的な医師不足の打開を目指す。

具体的には「周産期医療分野への医学生誘導事業」として、弘前大医学部に研修を委託。産科医療専門医と新生児(小児科)専門医の2つの「誘導コース」を設け、希望者に講義や病院での臨床実習を5カ月程度受けてもらう。

県が08年に県内の医学生と臨床研修医に行ったアンケート(回答者352人)で志望診療科を尋ねたところ、小児科は63人、産婦人科は37人いた。内科(90人)、未定(74人)に続いて3、4位を占め、潜在的な人気の高さが明らかになった。

県医療薬務課は「小児科や産婦人科の志望者は臨床研修でいきなり現場の厳しさに触れ、離れてしまう」と指摘。誘導コースでは仕事のやりがいや勤務環境の改善状況も伝え、周産期医療のイメージアップを図る。

このほか、周産期医療の女性勤務医の支援体制づくりにも取り組む。弘前大医学部と連携。出産や育児をきっかけにした退職を防ごうと、短期休暇中に代替医師を派遣するシステムを構築する。

一連の事業は周産期医療体制強化特別対策として、09年度一般会計当初予算案に総額1856万円が計上された。県の重点事業にも指定されている。