『沖縄タイムス』2009年2月24日付

大学除籍理由 5割が経済/県内7校 02−07年度2641人
不況深刻 拡大を懸念


二〇〇二―〇七年度の県内七大学の除籍者二千六百四十一人のうち、経済的理由によるものが約五割(千三百九十九人)を占めていたことが沖縄タイムスの調べで分かった。景気悪化で〇八年度後期の学費未納者も増加しており、多重債務問題などに詳しい琉球大学の花城梨枝子教授は「これまで以上に学費を払えない学生が大学を去っていくケースが増える可能性がある」と懸念している。(宮城貴奈)

調査は琉大、沖国大、沖大、沖女短、県立芸大、県立看護大、名桜大、沖縄キリスト教学院の八大学にアンケート用紙を送り、一月三十日の締め切りまでにキリ学を除く七大学が回答した。

学費が払えない

「経済的理由」の割合が高かった年度は〇六年と〇二年でともに57%。以下、〇四年の55%、〇三年52%と続いた。

個別の除籍理由への回答はほとんど記述がなかったが、ある大学では「親の失業やリストラ」「親の仕事で受注量が減った」「家族の病気や入院、手術」と具体例が挙がった。また〇二―〇七年度の除籍者全員が「学費納付が困難」だった大学もあった。ある大学の職員は「除籍だけでなく、学費支払いが困難で自主退学する学生もいる」と話した。

消費者教育が専門の花城教授は、景気悪化で「親の経済状況の悪化で授業料を払えない学生が増えている」と指摘する。四年次に上がってから除籍になるケースも出ている。

多重債務に警鐘

花城教授によると、家庭の経済的な事情で高校、大学で貸与を受けた奨学金を家計の足しにする学生もおり、「本来教育の機会は均等であるべきだが、貧しい人が大学に行けない状態になっている。無理して大学に行っても、結局は奨学金という名の借金をつくり、卒業後に仕事がなければ、多重債務につながる」と警鐘を鳴らした。

〇八年度後期は、県内のほとんどの大学で授業料の延納希望や未納者が前年同期に比べ増加、奨学金希望者も増えているという。

県内の私立大学では経済的な理由で授業料が未納の学生を対象に緊急奨学金増設が相次いでいる。