『中日新聞』2009年2月24日付

ネットで講義をどこでも 岐大などの連合大学院がシステム開設


岐阜、静岡両大の連合大学院など全国に6カ所ある農学研究科の連合大学院で、インターネットを利用してどこからでも講義の発信、受講ができるシステムが完成した。2009年度から各連合大学院の博士課程の教育で導入される。

岐阜大連合農学研究科の鈴木徹教授は「全国の最先端の講義が聴けるようになる。システムが有効利用できれば、大学院教育が本質的に変わっていくだろう」と期待する。

6カ所の連合大学院は、全国18の国立大法人が近隣の2−4大学と組んで設けている。従来は、このうち12大学間で衛星回線を使った同様のシステムが利用されてきたが、質疑の際に回線の切り替えに時間がかかるなど課題があった。

新システムでは、文部科学省が全国の大学や研究機関を結ぶために整備したネットワーク「SINET3」を利用。高画質の画面で質疑応答も即座にできるため、同じ教室で講義を受けているのと変わらないという。

岐阜大によると、6カ所の連合大学院で1000人の大学院生が利用する見込み。今後、単位の互換性を持たせるようにする方針。

23日には18大学をネットワークで結んだ開設式があり、岐阜市の岐阜大ではシステムが整備された連合大学院棟に、関係教職員や院生約30人が参加。岐阜大の木曽真教授による「糖鎖小宇宙から見た農学と生命科学の世界」と題した記念講演が、18大学に発信された。

 (稲垣時太郎)