『山陰中央新報』2009年2月20日付

経済不安が大学受験にも影響


二十五日から二次試験が始まる島根大学(松江市西川津町)の志願者数が、前年度から大幅に増加した。厳しい家計を理由に、自宅から通える地元や近隣の国公立大を志望する傾向が強まっているのが一因とみられる。急速な景気の悪化が、受験生の志望校選びに影響を及ぼしているようだ。

島根大の前後期を合わせた志願者数は、前年度比六百七十人増の五千八十二人。増加数は中四国地方の国立大で最大になった。

近年にない低倍率となった前年度の反動もあるが、同大入試センターの田中均副センター長は「もともと強かった国立大指向や現役合格志向に、経済事情も重なった」との見方を示す。

松江北高校の佐藤誠進路指導部長も「地元志向がより強まり、一人当たりの受験校も減っている」と指摘。私大受験も移動費の負担を避けるため、センター試験のみで受験できる大学を選ぶ生徒が増えたという。

また、景気が急速に悪化した昨秋以降の面談で、厳しい家計を理由に急きょ進路を変更する例も多く、「所得格差が志望校選びの幅を狭めている」と話す。

一方、経済的な理由などで修学が困難な生徒・学生を支援する島根県育英会には、奨学金支給の条件を確認する保護者らの問い合わせが相次ぎ、一部で既に前年度を上回る申請があるという。