『東京新聞』茨城版2009年2月20日付

正規雇用化へ 賃金得ながら技能習得 大学2病院研修医向け講座


◆雇用・経済対策

厳しい経済状況下で非正規労働者の「派遣切り」や「雇い止め」が相次いでいることを受け、県は緊急経済・雇用対策として総額九十七億六千四百万円を盛り込んだ。正規雇用化につながる雇用対策が目玉事業だ。

正規雇用化につながる政策は、求職者に特定業種の仕事を紹介し、賃金を得ながら技能を習得してもらう「雇用・研修一体型事業」で五億一千八百万円を計上。二百四十六人の雇用創出を見込む。

これまで失業中の求職者が職業訓練中、生活費が出ることはなかったが、同事業は賃金を得ながら技能を習得できる。求職者を受け入れるのは農業や林業、介護職など八業種。いずれも人手不足に悩まされている業種で、雇用創出と同時にこれらの業種の担い手確保を目指す。

県は各業種の事業者と契約し、求職者は事業者に直接雇用される形となる。求職者には各種研修会や資格試験の受講機会が確保され、今後の雇用につながる。

また、市町村が実施する雇用対策に対しても十一億六千三百万円を盛り込んだ。

◆医療

医師確保対策の事業費は前年度当初比一・五倍となる一億六千九百万円を計上した。

新規に筑波大と、東京医科大の県内にある病院に寄付講座を設置。両大から専任教員各二人を講座に招き、研修医らに地域医療への理解を深めてもらう。さらに講座の成果を普及させるため、鹿行や県西地域に受講した医師を派遣し、若手医師や研修医向けに研修を実施してもらう。

また、筑波大医学部の地域枠入学者五人に対し、新たに奨学金を貸与する。

◆教育

基礎学力の充実に二億六千百万円を盛り込んだ。県内の小学四年生全員(九百八十八クラス)を対象に夏休み中、五日間の特別授業を実施。担任のほか、教員志望の大学生らボランティアの協力も得て、算数の基礎学力向上を目指す。また、小学校を中心に非常勤講師百人を新たに配置。個別指導、習熟度別指導を強化する。

深刻化している携帯電話やインターネットを使った「いじめ」問題などへの対策に四百万円を計上。中高生や保護者、教員を対象に、全校で講習会を実施する。携帯電話やネットの危険性を認識してもらい、いじめ被害の未然防止を図る。 (沢田佳孝)