『福井新聞』2009年2月18日付

福井大、原子力研究所を4月に開設 世界トップレベル目指す


福井大は17日、世界トップレベルの原子力研究開発拠点を目標とする附属国際原子力工学研究所を、4月に同大文京キャンパスに開設すると発表した。所長に就く竹田敏一・大阪大大学院教授を含めた研究員34人体制で始動する。カリキュラムづくりなどを進め、2011年4月から学生を受け入れる。

施設などの受け入れ態勢が整い次第、敦賀市に移転するが、時期は未定。同大は「研究所は11年4月以降なら、いつでも移転できる状況になる」と説明している。

同研究所は、福井県のエネルギー研究開発拠点化計画の一環。北陸、関西、中京圏の大学との広域連携拠点として、設立に向けた検討を進めてきた。同日の同大役員会で正式に開設が承認された。

▽カリキュラムなどを構築する原子力工学基礎▽原子力工学研究開発▽放射線の医学利用を研究する医学物理・化学▽耐震、防災技術を研究する原子力防災工学―の4分野で構成。特に高速増殖炉「もんじゅ」を生かした研究を中心に据える。

竹田教授は高速炉研究の第一人者で、原子力学会理事などを務めた。また有馬朗人元文部大臣と木村逸郎京都大名誉教授が研究所顧問に就く。

原子力研究機関を有する大学は全国に3つあり、福井大の附属研究所は京都大に次ぐ人員規模になる。福田優学長は会見で「県内原発の安心安全を学問的にサポートしていく。アジアを含め、技術の担い手を育てていきたい」と開設への意気込みを述べた。

研究所開設に伴い、福井大大学院の工学研究科原子力・エネルギー安全工学専攻は11年4月から、研究所教員が担当する「原子力工学特別コース(仮称)」と、「原子力総合コース(仮称)」に再編される。定員は2コース合わせ前期27人、後期12人。