『新潟日報』2009年2月16日付

企業に博士派遣、新大が新事業


大学院の博士課程を修了したものの、研究者としての定職に就けない「ポストドクター」に地元企業で活躍してもらおうと、新潟大学は高学歴者のインターンシップ(就業体験)事業に乗り出した。同大で任期付き研究員として働く該当者3人を、来月上旬まで4週間の日程で新潟市などの製造業者に派遣。16日には地元企業の理解促進のためのシンポジウムを同市で開く。

国が1991年に始めた大学院生の倍増計画をきっかけに、同大でも自然科学系(理、工、農学)の博士課程修了者が91年度の約30人から2007年度には69人に増加。このうち例年十人前後が大学や民間研究機関の研究者ポストが空くのを待ちながら、短期の研究員や大学の非常勤職員として働いている。

高学歴インターンシップは、こうした人の目を研究職以外にも向けると同時に、企業側にも高度な知識を持つ「即戦力」としての存在を知ってもらうのが狙い。同大地域共同研究センターを中心に、行政や県内製造業者らが1月に設立した協議会が運営主体となり、経済産業省の補助金も活用する。

受け入れ企業の負担を減らすため、派遣される該当者が取り組む部品設計やプログラム作成などのカリキュラムは大学側が準備。企業秘密の保持に関する契約もあらかじめ交わした。

16日のシンポは午後2時半から同市中央区の新潟グランドホテルで開催する。同センターの尾田雅文教授は「ポストドクターの活躍の場を広げるとともに、新たな形の産学連携にもつなげたい」と話している。