共同通信配信記事 2009年2月7日付

医学生、卒後は半数が他地域流出 研修医の地域定着率、文科省調査


医学部卒業生のうち出身大学がある都道府県に残って研修医となったのは49・1%と、2人に1人は他地域へ流出している実態が7日、文部科学省の2008年度の定着状況調査で分かった。今回の調査に合わせて調べた03年度は57・8%で8・7ポイント低下していた。

こうしたデータを同省が分析したのは初めて。33都道府県で定着率が03年度より低下したが、特に北陸や山陰、九州などの12県は20−35%と地元確保が難しくなっている状況が判明、地方の医師不足や地域偏在を示した。背景には豊富な臨床例が経験でき、条件の良い都市部などに地方の人材が集まっていることがあるとみられる。

調査は昨年9月に実施。過去のデータがない東京や大阪の計3校と出身地に戻ることが条件の入学枠がある自治医大を除く、国公私立医科系75校について、卒業直後の動向を調べた。

都道府県別(データは5%刻みで分析)で08年度の定着率が最も低かったのは島根と宮崎の20−25%。25−35%は青森、富山、福井、鳥取、大分、宮城、高知、長崎など。

高かったのは65−70%の北海道と大阪で、60−65%の神奈川、愛知、奈良、熊本などが続いた。

03年度との比較で低下幅が大きかったのは千葉、鳥取、島根、山口で25ポイント減だった。上昇したのは秋田、栃木、長野、沖縄など7県でうち和歌山は15ポイント上昇し、60−65%となった。