『下野新聞』2009年2月3日付

産業人育成で授業協力 宇大と富士重工など連携


宇都宮大学は、富士重工業のクリーンロボット部(宇都宮市陽南一丁目)などと協力し、産学連携で次世代の産業人を育成するための総合教育プログラムの開発、実証に乗り出す。工学部機械システム工学科のカリキュラムに、製品開発チームを編成して製品を開発する講座や、技術者による設計製図の講義などを組み込む計画で、新年度から順次実施する。

国の産学連携人材育成事業に採択された取り組み。両者をはじめ、電気制御盤設計・製作の中島電機工業(足利市福富町、中島健一社長)、小学生向け科学教室も運営するアナログ回路や制御ソフト開発のエスオラボ(甲府市)の四者が協力し、二〇一〇年度まで実施する。

「高いデザイン能力を有する技術者」を育てるため(1)機械工学の専門的学力(2)問題発見や解決能力(3)言葉や図面をツールに口頭・文書で他者と意思疎通できるコミュニケーション力(4)報告・連絡・相談という社会人基礎力−の資質醸成を図る。

同学科(一学年八十五人)のカリキュラムを再構成。一年生の授業では、業務概要や技術者倫理など企業人による講義と工場見学を通し、技術者像や企業活動のイメージを醸成、実務と学問の関連性を意識させるカリキュラムを導入する。

設計製図では、図面の役割や管理手法について企業技術者の講義を組み込む。設計構想図や計画図を手書きで作成することで、製品イメージを図面に落とし込む能力も養う。

富士重工業では「サービスロボット設計」講座も実施する。企業が新入社員に仕事を与えるのと同じように受講者を製品開発チームに編成し、議論・討論方式で製品の立案から製作まで実際の製品開発事例として取り組む。中島電機工業は電子基盤の回路設計のノウハウを講座に生かす。

また同大などでは小中学生向け科学教育プログラムも開発する。

同大大学院の横田和隆准教授は「産業界のアイデアをもらいプログラムを開発したい」としており、富士重工業では「社会に出て即戦力となる人材を育てたい」と話している。