『河北新報』2009年2月2日付

仙台市が東北大の最先端工学支援 企業誘致へ1億円超


仙台市は1日までに、東北大大学院工学研究科が今秋の設置を目指す最先端工学分野の産学研究拠点について、運営費の一部を負担する方針を固めた。負担費用4400万円を2009年度当初予算案に計上する。同研究拠点は大学と企業との共同研究に重点が置かれることになっており、市は、共同研究を支援し軌道に乗せることで、企業などの研究開発施設の新たな立地を促したい考えだ。

研究拠点の名称は「東北大大学院工学研究科情報知能システム(IIS)研究センター(仮称)」で、仙台市青葉区にある工学研究科の施設内に設置される。大学院情報科学研究科と電気通信研究所の研究者も加わり、運営組織を構成する。

センターが扱うのは、デジタル信号処理(DSP)システムや半導体、ロボット工学などの分野。DSPは、自動車の自動走行システムや携帯電話の音声送受信など広い用途が期待されている。

共同研究の相手は大手の情報家電、自動車メーカーなどを想定するほか、市内にあるソフトウエア関連の中小企業などに対しても研究参加を呼び掛ける。

運営費の一部負担は、企業と共同で研究水準のレベルアップを図りたい東北大側と、新たな企業誘致や地元中小企業の技術力向上を目指す市側の思惑が一致した。新年度分の4400万円を含め、市は11年度までの3年間で計1億3200万円を負担する方針。

市は「厳しい経済情勢だが、新製品開発や生産性向上に対する企業の意欲は根強い。将来、需要が見込める分野に絞って共同研究を促進し、企業誘致やビジネスチャンスにつなげたい」と話している。

市は研究開発施設の誘致を重点施策に掲げており、昨年9月には東北大と、青葉山新キャンパスへの研究開発施設立地を誘導するための協定を締結している。市は立地企業への固定資産税相当額の優遇措置を設け、東北大と連携した企業への営業活動も進めている。